Etude -習作-

series “Memories”

子どものころの思い出を沢山覚えています。

どれも今の私の外形だけではなく、精神や心の全てを形作る大切な宝物です。

 

文章が不思議と子どもの日記みたいになってしまいます。書いている間はその頃に戻っているのだと思います。


運動会

運動会はきらいでした。

かけっこではいつもビリ。家族みんなをがっかりさせた気がして、とても悲しかった。妹も見てるしカッコ悪い。どうして他の子は平気なんだろうと不思議でした。

でも、いつも家族は喜んで私を迎えてくれました。

美味しいお母さんのお弁当。食べきれないくらいの沢山のおにぎりと私たちが大好きなおかず。

もうちょっと頑張るから、一緒に帰ろうね。

 



夏の縁側

おばあちゃん家の縁側。

夏の暑い日に、風の通る縁側で涼むひととき。

風の抜ける音と、蝉の声。

おばあちゃん家の柴犬のりゅうちゃんと、シャム猫のきりまる。

庭にやって来るスズメたち。

池には色んな色の鯉が泳いでいました。

いつも、おばあちゃんが「鯉にエサをやってもいいよ」と言ってくれるのを待っていました。青臭い鯉のエサのにおいを今も覚えています。

 

沢山の木が植わっていて、アロエの鉢植えもありました。

おばあちゃんが剪定ばさみでアロエを剥いて食べさせてくれました。

物知りで、器用だったおばあちゃんの剥いたアロエはちっとも苦くありませんでした。

 

なくしたバドミントンの羽根はどこへいったのか、結局見つかりませんでした。



お花見の木

おばあちゃんの作ってくれる御馳走でお花見。

庭の桜の木は子どもの私にとってはとても大きな木でした。

大きな立派な桜の木。一度「おじいちゃんが枝を切った」と言って、おばあちゃんがとっても怒っていたことがありました。

 

お花見の時は、桜の下に茣蓙を敷いて、妹と私と従姉と3人。ちゃぶ台まで用意してくれました。

おばあちゃんはゆっくり食べる暇もなく、次々と御馳走を作っては運んでくれました。

 

本当は、お父さんもお母さんも、そして、おばあちゃんも一緒にいてほしかった。

私は、みんなが大好きでした。

 

みんなでお汁を飲んでいた時に、私のお椀に桜の花びらが入りました。

従姉が「桜の花びらが入るなんて良かったね」と言ってくれたことを今でも覚えています。



おばあちゃんと前掛け

おばあちゃんは、いつも前掛けをしていました。

おばあちゃんの後を付いて回っていた私が見るのは、おばあちゃんの後ろ姿。安心の象徴。

 

ポケットの中にはいつもチョコレートやあめ玉が入っていて、小学校から帰って来た私に、しわしわの分厚い温かい手で掴みだして渡してくれました。

 

おばあちゃんは沢山の木と沢山の花を育てていました。

色んな種類の果実もたわわに実りました。

春も夏も秋も冬さえも自然に溢れる庭と畑。

とても働き者で、強かったおばあちゃん。

 

教えてもらった花や木の名前は忘れてしまったけれど、花や木への愛情や、美しさへの感動や喜びは忘れないよ。

 



庭と妹と二人の宝物

庭はいつも陽が当たっていて明るかったように思います。

お母さんが草を抜いてくれていて、いつでもきれいでした。

生垣や鉢植えが丁寧に育てられていて、陽が当たると全てがきらきら光ります。

 

蒼いブランコは、おじいちゃんがペンキを塗り直してくれました。

大きなブランコは、写真で見るととっても小さなブランコでした。

 

妹と沢山遊んだ小さなお庭。

おもちゃの宝石や指輪を埋めて、地図を作って宝探し。

探し出したおもちゃたちは、埋める前よりきれいに見えます。

何度も何度も埋めては探して見つけていました。

 

探し損ねたおもちゃはどこにいったのだろう。



犬たちとの思い出

「付いて来たから」とお父さんが突然子犬を連れて帰って来ました。

それが最初の犬。

お母さんが私の名前と妹の名前の最初の文字をとって「りなちゃん」と名付けました。

 

りなちゃんの生んだ最初の子犬は元気に育って、太ってコロコロしているから「コロちゃん」。おじいちゃんは「エル」っておしゃれな名前で呼んでいました。

でも次からは子犬は死んで生まれました。

寒い濡れた土に埋めるのがかわいそうで、お母さんが毛布を敷いてあげて、私に「ぬいぐるみを入れてあげたら?」と言いました。

とても楽しみにしていたことが、とても悲しく残念なことになってしまうこともあると思いました。

 

マーチもフクちゃんも、今は天国に行ってしまいました。

でも、思い出すのは元気な犬たちの姿です。

 



お父さんの運転する車

お父さんはいつも運転手です。

買い物も、海水浴も、旅行もお父さんが連れて行ってくれました。

 

窓から色んなものを見ました。

海、山、街、空。

 

車の中は、お父さんとお母さんの好きな曲が流れていて、私たちはいつの間にかその歌を覚えました。

音楽がかかっていない時は妹と学校で習った歌を歌いました。

買い物の帰り道では、お菓子やみかん、コロッケを食べたりしました。

旅行に行く時も色んなものを食べました。

家族みんなで食べました。

 

きつねのぬいぐるみ、つねちゃんが色が変わるまで乗っていました。